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「何をしている人か」は説明できるのに、「それを頼むと何が変わるのか」が伝わらない。自己紹介や商談で起きるこのずれを、ここではAとBという二つの言葉で整理します。
Aは、提供する側が普段使っている言葉です。職業名、サービス名、制度、機能、手段などが当てはまります。Bは、その仕事を受ける人が得る変化です。困っている場面がどう変わり、何を選べるようになるのかを表します。
Aは専門性を示すために必要です。ただし、Aだけでは、初めて聞く人が自分との関係を判断しにくいことがあります。伝える内容を変えるのではなく、AからBへ入る順番を変えることが、自己紹介の「翻訳」です。
Aの言葉が先になるのは、専門家として自然なこと
長く仕事をしているほど、扱う制度や方法は当たり前になります。日常的に使う言葉なので、説明もそこから始まりやすくなります。
一方、交流会で初めて会う人は、その前提を持っていません。サービス名を聞いた後に「自分や知人のどんな悩みに関係するのか」を頭の中で翻訳する必要があります。短い会話では、その翻訳が終わる前に次の話題へ移ってしまいます。
これは、聞き手の理解力が低いからでも、サービスに価値がないからでもありません。専門家と受け手が、別の入口から同じものを見ているだけです。
Bは「メリットを大きく言うこと」ではない
Bへ変えるというと、派手な効果や強い約束を加えることだと思われるかもしれません。しかし、必要なのは誇張ではなく、相談前後の場面を具体的にすることです。
たとえば、これは説明のための仮の例です。
- A:自己紹介文を添削します
- B:話すたびに長くなる自己紹介から、相手が紹介先を思い浮かべられる順番をつくります
Aには提供内容が書かれています。Bには、誰がどんな状態からどこへ進むのかが含まれます。両方を伝えることで、聞き手は「自分に関係があるか」を判断できます。
AからBへ翻訳する4つの手順
1. いつも使う説明を、そのまま書く
最初から上手に直そうとせず、現在の自己紹介やサービス説明を書き出します。専門用語が入っていても構いません。まずAを見える状態にします。
2. 相談前の一場面を決める
「困っている人」では広すぎます。交流会で職業名は伝わるが紹介へ続かない、商談で説明が長くなり相手の反応が見えない、といった一場面まで具体化します。
3. 相談後にできることを言葉にする
大きな成功を約束するのではなく、支援によって理解、選択、行動の何が変わるかを考えます。「自分の価値を一文で話せる」「紹介してほしい人物像を相手へ伝えられる」など、観察できる変化を選びます。
4. Bを先に、Aを根拠として置く
「誰のどんな状態を変えるのか」を先に伝え、その後に方法や専門性を添えます。専門性を削るのではなく、聞く人が受け取るための順番へ並べ替えます。
一つの正解より、実際の反応を見る
自己紹介は、机の上で完成させて終わるものではありません。交流会や商談で話し、相手がどこで質問し、何を覚えていたかを見て調整します。
「分かりやすかったです」だけでなく、「○○に困っている人ですか」「知人にこういう人がいます」と具体的な反応が返ってきたかが手がかりになります。反応が曖昧なら、対象、場面、変化のどれかがまだ広い可能性があります。
能友良自身も、学びや知識を増やすだけでは価値が届かなかった時期を経験し、伝える順番と商談の流れを見直してきました。その背景はストーリーで紹介しています。
まとめ Aを捨てず、Bから届く道をつくる
Aは仕事の中身、Bは相手がその価値を理解する入口です。どちらか一方ではなく、Bから入り、Aで納得できる順番をつくります。
いまの説明がAなのかBなのか分からなくても問題ありません。普段使っている自己紹介や商談トークをそのまま聞き、止まっている場所を一緒に探すのが翻訳セッションの入口です。支援内容はサービス案内を、相談前の疑問はよくある質問をご覧ください。
